「せっかく声をかけてもらったのだから」「一度持ち帰って検討しよう」
そうやって、目の前に現れた案件をすべて取りにいこうとしていないでしょうか?
正直に言います。この世界で10年やってきて確信しているのは、法人営業において「何をするか」を決めることよりも、「何をしないか」を貫くことの方が、はるかに難しく、そして重要だということです。
以前の記事で、私は「法人営業には嗅覚が必要だ」とお伝えしました。

適切な見極めなく受けた仕事は、自分とチームの時間を奪い、最後には質の低い結果しか残しません。今回は、その見極め=嗅覚をどう「決断」に変えるべきか、「避けるべき仕事」の基準について本音でお話しします。
NOと言えない営業が陥る罠
ビジネスの世界では、実は「YES」と言う方が簡単です。相手との摩擦も起きませんし、一見すると仕事に邁進しているように見えるからです。ですが、その実態はどうでしょうか?
• 利益率の低い、ただただ消耗するだけの案件
• こちらへのリスペクトが欠如したクライアント
• 自社や自身の哲学や理念とは明らかに違う方向性のプロジェクト
これらを断れないのは、自分の「選別基準」が定まっていない証拠です。すべてを拾おうとする両手では、本当に掴むべき大きなチャンスを掴むことはできません。
※適正な法人営業はチーム・組織で運営されます。仮に営業マン個人の嗅覚が未熟でも組織でカバーされ、平均合格点は取れるはずなので、経験の浅い方でも会社選びさえ間違えなければ大丈夫です。
絶対に避けるべき「地雷案件」の定義
価格だけが基準の「リスペクトなき依頼」
価格交渉はビジネスの常ですが、「安ければ安いほどいい」という態度の相手とは、決していい仕事はできません。彼らは「価値」ではなく「コスト」しか見ていないからです。プロの技術に対する敬意がない場所で、最高のパフォーマンスを発揮するのは不可能です。
意思決定者が不明確な「霧の中の組織」
打ち合わせに何人も出てくるのに、誰も責任を取ろうとしない。あるいは、最後に「上に確認します」とすべてがひっくり返る。そんな組織の案件は、どれだけ注力しても虚無に終わります。責任の所在が曖昧な場所に、貴重なリソースを投資してはいけません。
直感が警鐘を鳴らす「本能的な違和感」
理屈や定量的な基準ではないのですが、初対面の挨拶、メールの文面、オフィスに流れる空気。「何か、嫌な予感がする」。この直感は意外とバカにできません。なぜなら、同じように会社という組織で働く私たち自身が、「この組織はヤバい」と感じる訳ですから、できればその原因を突き止めて対処するか、できなければお付き合いは避けていく方が無難です。
「しないこと」が決まれば営業の精度は劇的に上がる
避けるべき仕事を明確に定義すると、驚くほど視界が開けます。
断る勇気を持つことで、本当に大切にすべきクライアントへ全力を注げるようになります。自分の専門性を研ぎ澄ますための「空白」が生まれます。
戦略的な撤退は、決して敗北ではありません。次の「真の勝負」に備えるための、極めて攻めの姿勢なのです。
まとめ:重荷を捨てて本質を掴む
ビジネスは時に厳しく、甘いことばかりではありません。だからこそ、必要以上の重荷を背負って沈む必要などないのです。
意に沿わない仕事に追われ、本来の目的を見失うために今の道を選んだわけではないはずです。
もし今、あなたの元に「違和感」のある案件が届いているなら、思い切って手放してみてください。一つ断ったくらいで、あなたのキャリアが終わることはありません。むしろその空いたスペースに、もっと強固で、もっと純度の高いチャンスが流れ込んでくるはずですから。

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